マックスバリュおゆみ野店 テラスリニューアル
事業主体:マックスバリュ関東株式会社
デザイン監修:株式会社グランドレベル
設計・監理:株式会社プログレスデザイン
施工:株式会社新日本工営
竣工:2020/10/16
設計期間:2020/8/1-9/23
場所:イオンタウンおゆみ野店内(千葉県千葉市緑区おゆみ野南5-37-1)
研修協力:喫茶ランドリー 本店

 

主なタスク
・コンセプトメイク「新しいスーパーのカタチ」
・企画書の作成
・現地調査、関連施設視察
・企業経営陣へのプレゼンテーション
・現場スタッフとの理念の共有
・新しいマインドセット構築
・設計デザイン監修
・インテリア、家具監修
・喫茶ランドリーでの研修
・オープン後の運営サポート

 

   
 

スーパーは公共的存在 だからこそあるべき軒先の姿

マックスバリュおゆみ野店 軒先リニューアル

 
 商業的なプログラムを持ちつつも、子どもから高齢者まで、あまねくさまざまな人々が利用し、日常生活に必須な機能である施設、 特にスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどは、実は公共施設よりも公共的な存在です。では、まちにとってこれらの施設は本来どのようにあるべきなのでしょうか? そこではこれまで以上の役割を担うことができるはずだと、私たちはこれまで発信し続けてきました。
 
 そのような中で、今回マックスバリュ東関東株式会社より依頼を受け、マックスバリュおゆみ野店のリニューアルに合わせて、活用されていなかった店舗正面側の軒先空間周りをリニューアルすることとなり、グランドレベルがハード・そソフト・コミュニケーションのデザイン監修を行いました。
 
 近年、スーパーマーケットにはイートインスペースがつくられることが標準となっています。ただし、それらは購入したものを食べるためのスペースとして、お店の内側の発想から生まれたものでした。
 
 しかし、 “まちの中に存在するスーパーマーケット”という外からの視点を考えると、そこにつくられるべきものは、スーパーマーケットの軒先周りに、来店目的の人たち、通りがかる無目的な人たち、誰もが自由に過ごせる場所が風景として可視化されているべきだということを提案しました。
 

スーパーを正面側から見たビフォア(左)とアフター(右)。


 店内外、約120平米の空間は大きく変わりました。まず、天井高の高い既存の空間に籠もり感が出るように室内外にパーゴラを設えました。屋外の軒先空間は、個人でも家族でも、ゆったりと座れる大きなベンチやカウンターテーブル、可動のテーブルや椅子、後のアクティビティを高める黒板や屋台、可愛い水回りのシンクなどを、店内側には、ソファー席やテーブル席、掲示板など、さまざまな要素が、居合わせた人々同士が、良い意味で干渉し合うようにバランス良くデザイン・配置をしました。
 

使われて居なかった軒先に、誰もが気軽に佇める場所が生まれた。


 リニューアルオープン初日から、これまでにはない光景を見ることになりました。買い物目的ではない犬散歩のおじさんが休んでると「寒いですね」とスタッフが話しかけます。その後ろを「あの柴犬、可愛いね」と子連れの家族が通り、「あなたどこにいるの?」とスマホを片手の主婦がベンチに座ります。店内のテーブルでは子供たちが駄菓子を回し食べ、ソファーは高齢の方がゆったりと。外に出した屋台には「一杯コーヒーをください!」と引っ切り無しに人が訪ねてきます。そして、買い物帰りのご夫婦がカウンターで外を向いてゆっくりと過ごす。
 
 しかし、ここがプロジェクトのスタートとなります。喫茶ランドリーで研修を受けたスタッフの皆さんがファシリテートし、(グランドレベルのサポートをしながら)地域の人々とコミュニケーションを重ね、この軒先で自由に過ごしていただくこと、また 市民の皆さんの「小さなやりたい」を実現させてあげられる場所として機能していくことを目指していきます。
 
 「あのスーパーのあの場所が好き」そう市民に愛されていくことは、シビックプライドにもつながり、ゆくゆくは売り上げにもつながっていきます。マックスバリュ東関東様と共に、これまで担ってきた以上の役割を創出する、 新しいカタチのスーパーマーケット考えるプロジェクトがはじまります。

Ground Level × Acttiveness