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クライアントの“やりたい”を喚起させ続ける間口5.5m、長屋の1階をつくる

ハタメキ

2020.06|東京都・清澄白河|個人クライアント|企画・設計・運営サポート

地域拠点 コミュニティ醸成 リノベーション
 
 「喫茶ランドリー」のような場所を私もやってみたい。そう言って一人の女性がある物件のチラシを手に現れました。拝見してみると、建築に携わる人なら誰もが知っている清澄白河のアノ長屋でした。
 

 
 清澄白河の清澄庭園の際、清澄通り沿いに建つのが「旧東京市営店舗向け住宅」。関東大震災後の1928年に震災復興事業として東京市によって建築されたもので、鉄筋コンクリート造の2階建てが、複数の住宅で1棟になっている長屋が連なっています。
 

 
 訪ねてみると間口はわずか2間半 (5.5m)。1階の面積は喫茶ランドリーの半分以下です。しかし、清澄白河から現代美術館へと抜ける資料館通りの入り口に近く、南北に走る清澄通りに面し視認性も高く、前面の歩道は人通りも多い場所でした。間口と歩道の狭さをポジティブに捉えれば、エッジデザインによってアクセシビリティの向上へつなげることができる!
 

 
 さらに現地で観察を続けていると、1階のガラス戸のぎりぎりを人や自転車が通り抜けていき、とてもスリリング。互いの顔を認識することも容易で、この関係を活かすことができれば、お店に立つ人とまちを行き交う人とのアクティブな関係をつくれるはずです。
 
 2階にはクライアント様が着物着付けアトリエも持ち、着付け教室を行うことになりました。当初、1階、2階のエントランスを分ける案もあったのですが、クライアント様のひとつの側面である着物というものも1階に滲み出していてほしいという想いと空間の効率的な活用の点から、エントランスは1階の正面1箇所のみとしました。
 
 プランニングで、まず外せないポイントは人が立つキッチンスペースの位置と大きさ。視認のみのコミュニケーションを図るためにも、キッチンスペースは最小限とし、通り側に顔を覗かせられるスタイルに。合わせて、軒先スペースをつくるために、エントランスを敷地境界から約1mセットバックさせました。この小さなバッファが、後にいろんな活動を引き出し、また人を惹きつけるスペースとなります。
 
 全体の面積が狭いこともあるので、残りは一室空間としつつ、手前の既存の床や階段、工事途中で現れてくる断面などの昔の痕跡は極力残していくこととしました。(実は、なんと防空壕まであるのです!)さらに、クライアン様が持つ演劇的なエッセンスも加えるように、奥側を数段上げ、その先にはテラス、そして清澄白河の鬱蒼とした緑が背景となるようにしました。ここもまた、お客さんにさまざまな使い方を想像させます。
 
 こぢんまりとした広さで、家具類をはじめから規定しまうと、そこへ来る方々にのポジティブな使い方の妄想を妨げてしまこと、またクライアント様の能動性の高さを鑑みて、今回はあえて家具類のほとんどをディレクションしないことしました。その代わりに、スタート後はすべて自由につくっていっても良いということを伝え、全力で応援していくことに。
 
 
 また、このスペースをはじめるにあたり、クライアント様が書き留めていた 「演劇について―ダランベールへの手紙」(著:ルソー)の一節をきっかけに 「ハタメキ」というネーミングも提案させていただきました。こういった名前一つでも、その後のクライアント様の能動性にどう影響しうるかが大切になってきます。このネーミングから互いにイメージを膨らませていき、クライアント様自身がデザイナーをディレクションし、ロゴを作成したり、看板もハタ型に。またオープニングでは、ハタ型のチラシがまちを行き交う人々に配られました。
 

 
 計画や工事と同時進行で、クライアント様は、研修も兼ねて喫茶ランドリーで働くことを何度も体験しました。お店の人ではなく○○さん個人でいること、お客さんとどのようなコミュニケーションを取るのかなど、喫茶ランドリーの基本的な理念を体現していきました。
 

設計は建築家・石井大吾さんによるもの。建物全体のリノベーションは非常にアグレッシブかつ秀逸なものでした。純粋にリノベーションの事例としても見どころが満載です。


 
 その後、コロナを乗り越えて、2020年6月3日にオープン。オープン直後から、店内は日々変わり続け、常連さんも生まれ、誰もが昔からあった雰囲気に包まれ心地よく過ごされていくそうです。メニュー開発は友人の方も手伝い、家族も運営を手伝い、自身でディレクションされている雑貨コーナーは充実、初めての展覧会開催も決まったそうです。店内の家具類も日々、追加・変化しているようです。清澄白河はコーヒーの街、アートの街と言われがちですが、そのようなことに媚びず、自然体で「どんなひとにも自由なくつろぎ」を考え実践しはじめた「ハタメキ」は、この地域のあまねく人々との関わりを常に変化させながら、確実に小さないくつものカルチャーを生み出すきかっけになっていくことでしょう。(2020/07/28)
 
   日々の様子は、instagramをご覧ください
https://www.instagram.com/hatameki.kiyosumi/
場所:東京都江東区清澄3丁目3−21
用途:飲食店
一階コンサルティング・プロデュース:株式会社グランドレベル
設計・監理者:石井大吾デザイン室一級建築士事務所
構造設計:加藤千博(加藤構造計画事務所)
施工:ゆくい堂株式会社
公式サイト: https://www.hatameki.com/
 

(Photo = Kai Nakamura)


(Photo = Kai Nakamura)


(Photo = Kai Nakamura)


(Photo = Kai Nakamura)


(Photo = Kai Nakamura)


(Photo = Kai Nakamura)


(Photo = Kai Nakamura)


 
 

Ground Level × Acttiveness

土地・建物の再生

その土地にはどのような建物があるべきか、事業性と地域貢献度を最大限に高めたデザインを発明します。

施設・再開発の発明

幸福度・健康度を上げる、新しいカタチの施設・再開発づくりを創造します。人々がどこまで能動的になれるのか。

地域の拠点づくり

洗練さとダサさは人を寄せ付けません。まちに暮らす多様な人々が自然に寄り添いたくなるような拠点をデザインします。

喫茶ランドリー事業

「喫茶ランドリー」のような場をつくりたい、持ちたい、運営したい個人、組織、企業のオーナー様を完全サポート。

プレイスメイキング

賑わいをつくるだけではなく、そこに居るすべての人々がプレイヤーに転換してしまうような日常の「場」を創造します。

公共空間活用

特定することなく、あまねく人々を受け入れる。誰もが最高に心地よい空間で、自由に過ごせる風景をしっかりと実現させます。

集住の1階づくり

集住の1階に必要なのは、豪華なロビーではありません。暮らす人々が日常的に居られる場所が求められます。

住宅設計/宅地開発

地域との関わりがアクティブになり、良質な暮らしやすさを獲得できる。まちに開いた1階を持つ住宅を。

ベンチでまちづくり

人が暮らすまちに必要な最低限のインフラがベンチ。まちに暮らす人々を可視化させる最強ツールでまちを変える。

コミュニティ醸成

コミュニティが希薄な「場」に、パーソナル屋台ワークショップにより小さな育みのきっかけを埋め込んでいきます。

公園リノベーション

公園に求められるのは、すべての人にひらかれ、自由に過ごすことができること。全てはデザインによって解決できます。

歩行空間のデザイン

ピカソが絵に描きたくなるような歩行空間をつくるには、まちの1階との連動性と、関わる人々の能動性がポイントです。

グランドビジョンの策定

まち・都市を更新していく上で、もっとも大切なグランドビジョンに、人間を中心とした補助線のデザインを。

日常型観光プロデュース

日々淡々と存在する暮らしの積層こそが、そのエリアの観光資源に。世界のトレンドである日常型観光をつくります。

CSRプロジェクト

企業や組織による地域や社会への貢献プロジェクトを「1階づくりはまちづくり」を軸に構想、実現させていきます。