国営 海の中道公園 MOGMOG PLAY CAFE

設計監修・コミュニティ醸成・運営アドバイス・ロゴデザイン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公園のレストハウスをインクルーシブカフェへ

 
福岡市東区にある国営公園「海の中道海浜公園」は、博多湾と玄界灘の2つの海に囲まれた砂州状の地形「海の中道」に位置する、東西に約6キロメートル、面積約350ヘクタールと広大な敷地を有する国営公園。園内の芝生広場を、障害のある子どもを含め、誰もが楽しめるインクルーシブパークへと変える計画に合わせて、至近のレストハウスをリニューアルすることとなった。
 
レストハウスは焼きそばやソフトクリームなどを販売する、昔ながらの小さな売店兼休憩所であったが、園の名物であるネモフィラにちなんだメニューも揃え、繁忙期には行列ができるほどだという。スタッフの皆さんは職場に愛着と誇りを持たれ、活気があり、ヒアリングすると前向きなアイデアもたくさん伺えた。そんなスタッフと周辺環境や建築物が培ってきた雰囲気が、初めて訪れた者にも安らぎや懐かしさを与えてくれた。この場所が愛されたチャームポイントを色濃く残し、まるでどこを操作したのかわからないような、違和感をできるだけ感じさせない自然なリニューアルの姿を模索した。
 
園の指定管理を受けているクライアントと、そもそも“インクルーシブとは何か”、という議論からじっくり対話を重ねていき、同時にスタッフの皆さんがより発展的に活動できるよう、現場の声を伺いながら動きやすいユニホームをみんなでセレクト、レクチャーやお茶会を通したマインドセットなどを進めていった。また今回、地元のレストランが飲食のコンセプトやメニューを新たに考案し、これまで以上に満足度の高いフードの提供を目指すこととなった。
 
既存建物の平面は八角形でたくさんの開口部を持ちながら、時を重ねて冷蔵庫や自動販売機などで閉ざされてしまっていた。利用頻度などを確認しながら置かれたものを取り除き、開口を復活させるだけでも、見違える明るさだ。存分な開口や照明器具のセレクトなどから、この建物の設計者が込めた希望、ここでスタッフやゲストが明るく過ごす様子が想像されていたことが、手に取るように伝わった。特徴的な八角形の平面計画を活かし、店内からの眺めを楽しめるよう客席をレイアウト、当初のデザインを多く残し、スタッフやゲストの愛着を断絶させず、スムーズに時が繋がることを心がけた。
 
ほとんど雰囲気を変えないことを意識しつつ、実は大胆でアクロバティックな改修を行っている。既存キッチンは反対側の倉庫部分に移動させ、空いた空間は小上がり席に。公園に面する外側の壁には新たに開口部をとり、テイクアウト用の窓や客席カウンターを設けた。さらにその外側には大きなテラスを増設。店内からテラス、外部の公園へと、ゆるやかにつながるようコントロールしている。
 
建築周りのハードのデザインから、より多様な使われ方を受け容れるソフト、現場で活躍するスタッフの心理的安全や創造性、自発性を後押しするコミュニケーションデザインを三位一体で進めていった。建物から外部に広がる公園までを一体として親しまれ、使いこなされる場所となるよう、後方支援も行っていく。
 
ホームページ
 

プロジェクト名:国営海の中道海浜公園 MOGMOG PLAY CAFE
クライアント・事業者:公園財団・国営海の中道海浜公園
設計監修:株式会社グランドレベル
設計:石井大吾デザイン室一級建築士事務所
構造設計:加藤構造計画事務所
協力:大関美奈子
施工:西日本グッドパートナー株式会社
フード監修:木下 雄(Café sones)
ロゴデザイン:株式会社グランドレベル
写真:中村絵

リニューアル前の店舗内
 
企画時資料(一部)
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